Works — 建設/事業計画書 策定支援
金融機関に通る事業計画書。10カ年の数値計画をつくり、設備投資の資金を確保した話
| 業種 | 建設 |
|---|---|
| 規模 | 年商5.8億円/従業員31名/中国地方 |
| ご利用サービス | 事業計画書 策定支援 |
| ご相談時の状況 | 設備投資をしたいが、金融機関との話が前に進まない。数字の裏付けを示せていませんでした。 |
※ ご要望により社名は伏せています。数値はいずれも実測値です。
相談をいただいた時点の状況
年商5億8,000万円、従業員31名。中国地方で、公共工事と民間建築を手がける建設会社です。社長は3年前に先代から事業を引き継いだばかりでした。
ご相談の内容は明確でした。「重機とICT機器に8,000万円ほど投資したい。銀行に相談しているが、話が前に進まない」。
詳しく伺うと、決算書は毎年きちんと出している。業績も悪くない。直近3期は連続黒字で、自己資本比率も28%あります。それなのに、融資の話が進まない。
「銀行から何と言われましたか」とお聞きしました。返ってきたのは、「もう少し具体的な計画を、と言われるんです。でも何を出せばいいのか分からなくて」。
これが、この案件の本質でした。数字が悪いのではなく、将来を語る材料がなかったのです。決算書は過去の記録であって、これから何をするかは何も語りません。
最初にやったこと ── 過去5年の数字を分解する
計画を作る前に、まず過去5年の実績を分解するところから始めました。将来の計画は、過去の構造の延長線上にしか作れません。
分解の軸は4つです。工事種別、元請下請の別、発注者(公共/民間)、そして工事規模。この4軸で、5年分の売上と粗利を並べ直しました。
作業に3週間かかりました。会計データだけでは足りず、工事台帳と突き合わせる必要があったためです。経理担当の方と、社長ご自身にも入っていただきました。
| 区分 | 売上構成 | 粗利率 | 5年の推移 |
|---|---|---|---|
| 公共・元請 | 38% | 21.4% | 横ばい |
| 公共・下請 | 12% | 13.2% | 減少傾向 |
| 民間建築・元請 | 31% | 18.7% | 増加傾向 |
| 民間建築・下請 | 14% | 11.8% | 横ばい |
| 修繕・その他 | 5% | 26.1% | 増加傾向 |
社長が驚かれたのは、いちばん下の「修繕・その他」でした。売上構成では5%しかないのに、粗利率が26%と突出して高い。しかも伸びている。
「ここは、ついでの仕事だと思っていました」とおっしゃいました。会社として力を入れていない分野が、実は最も利益率が高かったわけです。
分解しないと見えないもの
全体の粗利率だけを見ていると、こうした構造は絶対に見えません。「どこで稼いでいる会社なのか」は、分解して初めて分かります。そして、それが計画の出発点になります。
打ち手① 10カ年の数値計画を、構造から積み上げた
計画づくりの方針を決めました。希望から作らない。構造から積み上げる。
よくある事業計画は、「10年後に売上10億円」という目標から逆算します。それでは金融機関には通りません。根拠を聞かれた瞬間に答えられなくなるからです。
- 区分ごとに、市場の見通しと自社の受注余力から現実的な成長率を置く
- 人員計画を先に組む(1人あたりの完工高から、必要人数を出す)
- 設備投資が生む効果を、区分別の粗利率の改善として織り込む
- その積み上げの結果として、10年後の売上と利益が出る
- 出てきた数字が納得できなければ、前提に戻って組み替える
1回目の積み上げでは、10年後の売上が7.2億円にしかなりませんでした。社長は「もっと伸ばしたい」とおっしゃいました。そこで前提に戻り、修繕分野の構成比を5%から18%まで高める計画に組み替えています。
この組み替えには根拠があります。修繕は粗利率が高く、公共工事の変動に左右されにくい。ICT機器への投資が効くのも、実はこの分野でした。投資の目的が、計画のなかで意味を持ったわけです。
打ち手② 投資回収を年次で示した
8,000万円の設備投資について、回収の見通しを年次で示しました。ここが、金融機関がいちばん見る部分です。
| 年度 | 投資額 | 効果(粗利増) | 累計回収 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 8,000万円 | 1,100万円 | ▲6,900万円 |
| 2年目 | — | 1,900万円 | ▲5,000万円 |
| 3年目 | — | 2,300万円 | ▲2,700万円 |
| 4年目 | — | 2,400万円 | ▲300万円 |
| 5年目 | — | 2,500万円 | +2,200万円 |
5年で回収、という計画です。重要なのは1年目の効果を低く見積もったことでした。機器を入れてすぐ効果が出ることは、まずありません。習熟に時間がかかります。
最初の草案では、1年目から2,000万円の効果を見込んでいました。私のほうから「これは通りません」とお伝えして、下げてもらっています。楽観的な計画は、それ自体が信用を落とします。
金融機関の担当者は、何十社もの計画を見ています。都合の良い数字が並んでいれば、すぐ分かる。厳しめの前提で作られた計画のほうが、結果的に信用されます。
打ち手③ 根拠を1枚ずつ示せる資料構成にした
資料の構成にも手を入れました。よくある事業計画書は、数字の表が並んでいるだけです。それでは質問に答えられません。
作ったのは、数字の裏に必ず1枚の根拠資料がある構成です。
- 売上計画 → 区分別の過去5年実績と成長率の根拠
- 人員計画 → 1人あたり完工高の推移と、採用計画
- 設備投資 → 見積書と、投資効果の算出根拠
- 資金計画 → 月次の資金繰り表(36か月分)
- リスク → 公共工事が2割減った場合のシミュレーション
最後のリスクシミュレーションは、こちらから提案して入れました。都合の悪いケースを自分から出すと、計画全体の信頼度が上がります。隠していると思われるより、はるかに良い。
実際、金融機関との面談で最初に聞かれたのが「公共が減ったらどうしますか」でした。すでに資料があったので、その場で答えられています。
打ち手④ 想定質問への回答を準備した
資料が完成したあと、面談の準備に2回の打ち合わせを使いました。
私が金融機関の担当者役になり、社長に質問をぶつけます。答えに詰まった箇所は、資料に戻って補強する。この往復を2回やりました。
- 「この成長率の根拠は何ですか」
- 「人は採れるんですか。採用の見通しは」
- 「投資が計画どおり効かなかった場合、返済はどうしますか」
- 「社長ご自身は、10年後にどうなっていたいですか」
4つ目が、いちばん詰まりました。数字の話ではないからです。ですが実際の面談でも聞かれます。計画は、経営者の意思を数字にしたものです。意思が語れないと、数字だけが浮きます。
この質問への答えを、社長は3日かけて考えてこられました。出てきた言葉は「地元で、若い人が入りたいと思う建設会社にしたい」。これを計画書の冒頭に置いています。
つまずいた点 ── 経理データの粒度が足りなかった
分解の作業中に、大きな問題にぶつかりました。会計データに工事番号は入っているものの、工事種別の区分が入っていなかったのです。
そのため、公共か民間か、元請か下請かを、1件ずつ工事台帳で確認する必要がありました。5年分480件を1件ずつ。追加で2週間かかっています。ここは正直、想定外の工数でした。
「そこまで細かく分けて入力する意味が、正直分かっていませんでした」
経理担当の方の言葉です。これは責められることではありません。分解して見せられるまで、その意味は分からないものです。
その代わり、今後は同じ作業が要らないように、会計ソフトの補助科目を設計し直しました。次の期からは、締めた時点で区分別の粗利が出ます。計画づくりの副産物として、月次管理の基盤ができた形です。
結果 ── 8,000万円の融資が実行された
計画書の完成から2か月後、設備投資資金8,000万円の融資が実行されました。
社長によれば、面談の雰囲気が以前とはまったく違ったそうです。「数字の質問に、その場で答えられた。それだけで話の進み方が変わりました」。
金利条件も、当初の想定より有利になりました。計画の精度が評価された結果だと担当者から説明があったそうです。
- 会計の補助科目が整理され、月次で区分別粗利が見られるようになった
- 金融機関との面談が、年1回から四半期ごとになった(先方からの提案)
- 修繕分野に本格的に取り組む方針が固まった(構成比5%→18%が目標に)
計画書は、作って終わりではない
作った計画は、四半期ごとに実績と突き合わせています。ずれたら、なぜずれたかを説明する。この積み重ねが、次の融資のときに効いてきます。出しっぱなしの計画には、意味がありません。
支援の進め方とスケジュール
プロジェクト型(120万円・税別)で3か月、その後は月次顧問に移行しています。
| 期間 | やったこと |
|---|---|
| 1か月目 | 過去5年の実績分解(4軸)。工事台帳480件の突合 |
| 2か月目 | 10カ年計画の積み上げ。前提の組み替えを3回 |
| 3か月目前半 | 資料化。根拠資料5点の作成 |
| 3か月目後半 | 想定質問の準備(打ち合わせ2回)。面談への同席 |
| 以降 | 月次顧問。四半期ごとの実績突合 |
面談には1回同席しました。ただし発言はほとんどしていません。説明するのは社長であるべきだからです。コンサルタントが代わりに説明する計画は、金融機関から見て評価が下がります。
費用と、投資として見たときの回収
120万円(税別)でした。3か月のプロジェクト型です。
8,000万円の融資が実行されたことを考えれば、費用対効果は明らかです。ただし融資の実行を保証することはできません。これは契約前に必ずお伝えしています。
お約束できるのは、「金融機関が求める水準の計画を作ること」までです。判断するのは金融機関であって、私たちではありません。
実際、他社では計画を作ったうえで融資が通らなかったこともあります。そのときは、なぜ通らなかったかを金融機関に確認し、翌年に再挑戦しました。1回で通らなくても、計画があること自体が次につながります。
補助金の申請には使えるのか
事業計画書を作ると、必ず聞かれるのが「補助金の申請にも使えますか」という質問です。答えは「土台としては使えるが、そのままでは出せない」です。
金融機関向けの計画は返済能力を示すものです。一方、補助金の申請書が問うのは政策目的への合致と投資の革新性です。見る角度が違います。
| 項目 | 金融機関向け | 補助金申請向け |
|---|---|---|
| 中心となる問い | 返せるか | 政策目的に合うか |
| 重視される数字 | キャッシュフロー・自己資本比率 | 付加価値額・賃上げ・生産性 |
| 期間 | 5〜10年 | 3〜5年 |
| リスクの扱い | 悪いケースも示す | 実現可能性を強調する |
| 文体 | 事実の積み上げ | 目的と効果を明示 |
ただし、過去の分解と将来の積み上げという土台は共通です。この会社では、翌年に「ものづくり補助金」へ応募する際、同じ分解データを使って申請書を作りました。ゼロから作るより、はるかに短時間で済んでいます。
補助金は採択制です。採択を保証することはできません。この点は必ず事前にお伝えしています。
計画を作ったあと、何が変わったか
融資が下りたこと以上に効いたのは、社内の変化でした。
- 幹部が数字で話すようになった──計画づくりに現場代理人2名にも入っていただいたことで、「この工事の粗利率」という言葉が日常で出るようになりました
- 採用の説明が変わった──10年後の姿を語れるようになり、面接での説明に説得力が出たそうです
- 断る基準ができた──計画に合わない安い仕事を、根拠を持って断れるようになりました
- 先代との会話が変わった──会長である先代に、方針を数字で説明できるようになったとのことです
最後の項目は、事業承継期の会社ではよくある効果です。感覚と感覚のぶつかり合いが、数字を介した議論に変わります。これは金額に換算できない価値だと思っています。
よくいただく質問
「10カ年でなくてもいいですか」──構いません。5カ年でも十分です。ただし設備投資の回収年数が5年を超える場合は、それより長い期間で作らないと回収が示せません。
「税理士に作ってもらえないのですか」──決算数値の整理は税理士の領域ですが、事業計画は「これから何をするか」の話です。事業の中身を一緒に考える相手が必要になります。役割が違います。
「テンプレートはありませんか」──あります。ですが、テンプレートを埋めただけの計画は、質問に答えられません。埋めるのは簡単でも、その数字の根拠を説明できないと意味がないためです。
「どのくらいの期間が必要ですか」──3か月です。過去の分解に1か月、積み上げに1か月、資料化と準備に1か月。これより短くすると、どこかが薄くなります。
「社長が忙しくて時間が取れません」──社長の時間は、合計で20時間ほど必要です。分解作業は経理と私たちで進められますが、将来の方針を決める部分だけは代われません。そこを外注すると、面談で答えられなくなります。
いま、どうなっているか
月次顧問として支援を継続しています。四半期ごとに計画と実績を突き合わせ、ずれの原因を確認する作業が定着しました。
導入した重機とICT機器は、2年目に入って計画を上回る効果が出ています。修繕分野の構成比は、目標の18%に対して現在12%まで来ました。
社長からは「銀行の担当者と、対等に話せるようになった」と伺っています。数字で説明できることは、経営者にとって想像以上に大きな武器です。
同じ状況の会社へ
「銀行に相談しているが、話が進まない」という状態は、たいてい数字が悪いからではありません。将来を語る材料がないからです。
事業計画書は、体裁を整えた書類ではありません。経営者が自分の言葉で説明できる材料です。だから、外部が作って渡すだけでは意味がない。作る過程に、経営者が入る必要があります。
最初にやるべきは、過去の分解です。「どこで稼いでいる会社なのか」が分からないまま、将来の計画は作れません。この作業は地味で、数週間かかります。ですがここを飛ばした計画は、質問に答えられません。
まず何から
無料相談では、過去実績をどの軸で分解すべきかをお伝えします。業種と規模によって、見るべき軸は変わります。分解した結果を持ってきていただければ、計画に落とせるかどうかを判断できます。
計画書の目次(実際の構成)
どんな構成で作ったのかを公開しておきます。全38ページです。
- 経営理念と、10年後にありたい姿(2ページ)
- 会社概要と沿革(2ページ)
- 過去5年の実績分析 ── 区分別の売上と粗利(6ページ)
- 市場環境 ── 地域の建設投資見通しと競合状況(4ページ)
- 強みと課題の整理(3ページ)
- 10カ年の数値計画 ── 売上・粗利・利益(4ページ)
- 人員計画と採用方針(3ページ)
- 設備投資計画と回収見通し(4ページ)
- 資金計画 ── 36か月の資金繰り表(4ページ)
- リスクとその対応(3ページ)
- 実行計画 ── 直近3年の具体的アクション(3ページ)
1番目を冒頭に置いたのは意図的です。数字から始まる計画書は、読み手に「で、この会社は何がしたいのか」という疑問を残します。意思を先に示してから、その裏付けとして数字を出す構成にしました。
10番目のリスクは、金融機関からの評価が最も高かった章です。「ここまで書いてある計画書は珍しい」と言われたそうです。
資金繰り表を36か月分つくった理由
資金計画は、多くの会社が年次でしか作りません。この案件では月次で36か月分作りました。手間はかかりますが、理由があります。
建設業は入金と支払のずれが大きい業種です。年次で見れば黒字でも、月次では資金が詰まる月が出てきます。とくに大型工事の着工直後は、材料費と外注費が先に出ていきます。
| 月 | 入金 | 支払 | 月末残高 |
|---|---|---|---|
| 1年目 4月 | 4,200万円 | 3,800万円 | 8,900万円 |
| 1年目 5月 | 3,100万円 | 5,400万円 | 6,600万円 |
| 1年目 6月 | 2,800万円 | 4,900万円 | 4,500万円 |
| 1年目 7月 | 6,700万円 | 4,100万円 | 7,100万円 |
6月に残高が4,500万円まで落ちる。この山谷が見えていることが重要です。金融機関は、「この会社は自社の資金の動きを把握している」と判断します。
実際、面談でこの表を見せた瞬間に担当者の反応が変わったと社長から伺いました。年次の計画だけでは、ここまでの信頼は得られません。
作成には2週間かかりました。過去の入金サイトと支払サイトを工事種別ごとに整理する必要があるためです。ただし一度作れば、翌年以降は更新するだけで済みます。
面談で実際に聞かれた質問
金融機関との面談で、実際に出た質問を記録しておきます。同じ準備をされる方の参考になると思います。
- 「公共工事が2割減った場合、この計画はどうなりますか」──資料10章のシミュレーションで回答
- 「修繕分野の構成比を18%まで上げる根拠は」──過去5年の受注実績と、地域の住宅ストック数から回答
- 「人員計画の11名増は、採れる見込みがありますか」──直近3年の採用実績と、賃金水準の比較で回答
- 「設備投資の効果が計画を下回った場合の返済は」──資金繰り表の最低残高で回答
- 「社長は10年後、どうなっていたいですか」──計画書冒頭の一文で回答
- 「会長(先代)は、この計画をご存じですか」──策定過程で共有済みと回答
最後の質問は想定していませんでした。事業承継期の会社では、先代との関係を必ず見られます。幸い、この会社では策定の段階で会長にも説明していたので、その場で答えられました。
以降、私たちが関わる事業承継期の案件では、先代への説明を計画づくりの工程に組み込むようにしています。この案件から得た学びです。
6つの質問のうち5つは、事前の想定問答で準備していたものでした。準備の打ち合わせを2回やった価値は、ここに出ています。
経営者からよくいただく反論と、それへの答え
「10年先のことなんて分からない」──分かりません。当てるための計画ではなく、判断の基準を作るための計画です。実績とずれたときに「なぜずれたか」を説明できることに価値があります。ずれること自体は問題ではありません。
「テンプレートを埋めるだけでは駄目ですか」──埋めるのは簡単ですが、根拠を聞かれた瞬間に答えられなくなります。金融機関の担当者は何十社もの計画を見ています。埋めただけの計画は、すぐ分かります。
「税理士に頼めばいいのでは」──決算数値の整理は税理士の領域です。ですが事業計画は「これから何をするか」の話で、事業の中身を一緒に考える相手が必要になります。役割が違います。連携して進めるのが理想です。
「120万円は高い」──融資が下りなければ高い買い物です。だから融資の実行は保証しません。お約束できるのは「金融機関が求める水準の計画を作ること」までです。それでも通らないことはあります。
「忙しくて時間が取れない」──社長の時間は合計20時間ほど必要です。分解作業は経理と私たちで進められますが、将来の方針を決める部分だけは代われません。そこを外注すると、面談で答えられなくなります。
この支援の、次にあるもの
この事例では8,000万円の資金を調達しました。次は計画の実行です。四半期ごとに実績と突き合わせ、ずれの原因を確認する。この積み重ねが、次の融資のときに効いてきます。
計画は、作った時点では紙です。実行と検証を重ねて、初めて経営の道具になります。
私たちが月次顧問という形をとっているのは、この「次」に付き合うためです。プロジェクト型で一度きりの支援にすると、仕組みは残っても、次の判断のときに相談先がなくなります。
逆に、社内で回るようになった領域からは、こちらの関与を意図的に減らしていきます。ずっと同じ量で入り続ける支援は、依存を作るだけだと考えています。
この会社でも、事業計画の領域についてはすでに関与を大きく減らしました。月次会議に同席する程度で、実務はすべて社内で回っています。
最後に ── この支援を振り返って
融資実行から2年、計画と実績のずれは年平均で7%以内に収まっています。当てにいったわけではなく、四半期ごとにずれを確認して、前提を修正し続けた結果です。
社長からは「計画を作ったこと自体より、四半期ごとに見返す習慣がついたことが大きい」と伺っています。作りっぱなしの計画には意味がない、という言葉を、ご本人から聞けたのが何よりでした。
最後に、この案件で予定外だったことを書いておきます。会計データに工事種別の区分が入っておらず、5年分480件を1件ずつ工事台帳で確認する作業が発生しました。追加で2週間。見積の段階では読めていませんでした。ただ、その作業があったからこそ補助科目の設計し直しにつながり、いまは締めた時点で区分別の粗利が出るようになっています。想定外の工数が、結果として最も価値のある成果物を生んだ形です。
この案件を通じて確信したのは、事業計画は「作る」ものではなく「使う」ものだということです。38ページの資料そのものより、四半期ごとに実績と突き合わせる習慣のほうが、会社を変えていきます。作って引き出しにしまう計画なら、作らないほうがましです。
計画書の原本はExcelとWordで納品しています。更新は社内でできる形です。毎年こちらに依頼しなければ更新できない作り方は、していません。
翌年の更新は、経理担当の方が2日で終えられました。
最後に、この計画書は補助金の申請にも土台として使われました。翌年の「ものづくり補助金」への応募では、同じ分解データを流用して申請書を作成しています。ゼロから作るより、はるかに短時間で済みました。
なお、計画づくりの過程には現場代理人2名にも入っていただきました。数字を作る側に現場が入ると、計画が「経営者だけのもの」でなくなります。この会社で幹部が数字で話すようになったのは、その効果が大きいと考えています。
この事例に関するご質問
この事例について詳しく聞きたい、自社の場合はどうかを知りたい、という方は、無料相談でお受けしています。30分、オンラインです。
事例の会社と業種や規模が違っても構いません。むしろ、違う条件での話のほうが、お互いに得るものが多いと思っています。
よくお受けするのは「うちの規模でも同じことができるか」というご質問です。答えは、たいてい「できるが、やり方は変わる」です。年商1億円の会社と10億円の会社では、同じ課題でも打ち手が変わります。そこをその場でお話しします。
支援に入る前に、必ず確認していること
どの案件でも、契約の前に4つのことを確認します。ここが揃っていない状態で始めると、途中で止まるからです。
- 経営者が、この件に時間を使う気があるか。現場に任せきりにする前提の依頼は、お断りすることがあります。数字と方針に関わる話は、経営者が入らないと決まりません
- 社内に、一緒に動く人が1人いるか。外部だけでは動きません。窓口になる方が1名いれば十分です。専任である必要はありません
- いま何が起きているかを、数字で測れる状態か。測れないなら、測るところから始めます。ここに1か月かかることもあります
- 半年から1年、続ける覚悟があるか。3か月で結果を求められる場合は、この支援は向きません。正直にそうお伝えします
4つ目でお断りしたことも、実際にあります。急いでいる会社に「時間がかかります」と言うのは気が引けますが、合わない支援を始めるほうが、お互いに損をします。
逆に、この4つが揃っていれば、業種や規模はあまり関係ありません。年商1億円の会社でも、10億円の会社でも、やることの本質は変わらないからです。
他のコンサルティング会社との違い
「他社と何が違うのか」とよく聞かれます。正直にお答えすると、やっていること自体は、そこまで変わりません。分析して、設計して、実行して、定着させる。手順は業界の標準です。
違いがあるとすれば、3つだと考えています。
| 項目 | 一般的なコンサルティング | Luzetra |
|---|---|---|
| 業界の理解 | ヒアリングで把握する | リフォーム経営25年。前提の説明が要らない |
| 実行の範囲 | 助言まで。実行は自社かベンダー | 開発まで一社で行う。切れ目がない |
| 成果の判定 | 報告書と定性評価 | 着手前に実測した数字と比較する |
2つ目が、実務では最も効きます。「こういう仕組みがあるといい」で終わらず、その仕組みを実際に作れる。ここでベンダーを挟むと、要件の翻訳に時間がかかり、意図もずれます。
3つ目は、当たり前のようで実行されていないことが多い項目です。着手前に測っていなければ、効果は比較できません。「体感で楽になった」は成果ではない、というのが基本姿勢です。
この事例をご覧になった方へ
ここまで読んでいただいて、「うちも同じかもしれない」と思われたなら、まず過去5年の売上と粗利を、工事種別と発注者で分けてみてください。
それをやったうえで、判断がつかなければご相談ください。30分の無料相談では、売り込みをしません。状況を伺って、何が効きそうかだけをお伝えします。その場で契約をお願いすることはありません。
合わないと判断したときは、そう申し上げます。「いまは事業計画をつくるの段階ではない」とお伝えして終わったご相談も、実際にあります。無理に契約しても、お互いに時間を失うだけだからです。
ご相談の前に用意していただきたいもの
直近3期の決算書があると、話が早く進みます。なければ試算表でも構いません。数字がなくても相談は可能ですが、具体的な話に入るまでに1回多く打ち合わせが必要になります。
Result
数字でみる結果
| 項目 | 支援前 | 支援後 |
|---|---|---|
| 調達した設備投資資金 | — | 8,000万円 |
| 事業計画 | なし | 10カ年の数値計画 |
| 金融機関との面談 | 年1回 | 四半期ごと |
Voice
「数字の話ができるようになって、銀行の担当者の反応が明らかに変わりました。」
建設/代表取締役
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50名全員がAIを使う会社へ。研修と社内ルールを、同時に整えた話
利用率 12%→86%改善提案 3か月で41件
Business Plan
建設/事業計画書 策定支援
金融機関に通る事業計画書。10カ年の数値計画をつくり、設備投資の資金を確保した話
設備投資資金 8,000万円を調達10カ年計画を策定