Works  —  自動車陸送/システム開発

ExcelとAccessの継ぎ接ぎから卒業。受注受付と配車を、自社専用システムに載せ替えた話

受注処理 月120時間削減
配車ミス 8割減
業種自動車陸送
規模年商6億円/従業員38名/九州
ご利用サービスWebシステム開発+月額保守
ご相談時の状況受注受付がExcelとAccessの継ぎ接ぎで動いており、担当者が休むと業務が止まる状態でした。

※ ご要望により社名は伏せています。数値はいずれも実測値です。

相談をいただいた時点の状況

年商6億円、従業員38名。九州を拠点に、完成車を全国へ運ぶ自動車陸送の会社です。ディーラーやオークション会場からの依頼を受け、キャリアカーとドライバーを手配して運びます。取引先からのご紹介で、社長から直接ご連絡をいただきました。

最初の打ち合わせで出てきた言葉が、この案件のすべてを表していました。「うちの受注受付、寺田(仮名)が休むと止まるんです。去年インフルエンザで3日休んだとき、会社が半分止まりました」。

受注の入口は4つありました。電話、FAX、メール、そして一部の大口取引先が使うWebフォーム。それぞれ形式がばらばらで、車種の書き方も納期の表現も統一されていません。「本日中」と書かれていても、それが何時までなのかは相手によって違う。

入ってきた依頼は、まずExcelの受付台帳に手で転記されます。そこから、20年ほど前に前任者が作ったAccessの配車台帳へ、もう一度入力される。同じ情報を2回打ち込む運用が、長年そのまま続いていました。

配車の割り当ては、完全に寺田さんの頭の中にありました。どのドライバーがどのルートに慣れているか、どの車両が何台積みか、どの取引先が何時までの納車を求めるか。20年分の判断が、1人に集約されていたわけです。

最初にやったこと ── 受注の全パターンを紙に書き出す

1か月目は、システムの話を一切しませんでした。まず受注が入ってから配車が確定するまでの流れを、1枚の図にすることから始めました。

寺田さんに横についていただき、実際の依頼を1件ずつ追いかけます。「この依頼が来たら、次に何を見ますか」「なぜこのドライバーを選んだんですか」。判断の理由を、その場で言葉にしてもらう作業です。

2週間で、受注のパターンが11通りあることが分かりました。取引先の種類と、依頼の緊急度と、車両の特殊性の組み合わせです。本人は「毎回違う」と言っていましたが、並べてみれば11通りに収まりました。

配車の判断基準も、8つのルールとして書き出せました。優先順位まで含めて明文化したのは、これが初めてだったそうです。

属人化は、本人にも見えていない

「毎回違う」「経験でやっている」という言葉は、本当に例外だらけという意味ではありません。パターン化されていないだけです。横について1件ずつ理由を聞けば、たいてい10通り前後に収まります。

この図と一覧を社長にお見せしたとき、「これが出てきただけで、だいぶ気が楽になりました」と言われました。属人化の恐ろしさは、失われるまで中身が見えないことにあります。

打ち手① 受注の入口を1つに揃えた

最初に手を付けたのは、4つに分かれていた受注の入口です。

取引先に「今日からWebフォームだけにしてください」とは言えません。相手にも都合があります。そこで、入口はそのまま4つ残し、受け取ったあとの形を1つに揃える方針にしました。

  • Webフォーム:そのまま受注データになる
  • メール:本文から必要項目を抜き出して受注データにする
  • FAX:電子FAXに切り替え、画像から項目を読み取る
  • 電話:受付画面に直接入力する。項目は7つだけ

電話の受付画面は、入力項目を7つに絞りました。依頼元、車種、台数、積地、卸地、希望納期、備考。それ以上は聞きません。追加情報は、必要になった時点で確認すればいい。受付の段階で完璧を目指すと、電話が長くなります。

FAXの読み取りは、精度を100%にしようとしませんでした。読み取り結果を人が確認する画面を挟み、間違っていたら直す。全自動を狙うより、確認の手間を最小にするほうが現実的です。

打ち手② ExcelとAccessのデータを移行した

次が、20年分のデータ移行です。ここがこの案件でいちばん神経を使った部分でした。

Accessの台帳には、過去12万件を超える配車履歴が入っていました。取引先ごとの単価、ドライバーの稼働履歴、ルートの所要時間。この履歴こそが、この会社の資産です。移行に失敗すれば、20年分が消えます。

手順は慎重に組みました。

  1. まず読み取り専用でコピーを取り、元のAccessには一切触らない
  2. コピーからデータ構造を解析し、新システムの設計に反映する
  3. 移行スクリプトを書き、テスト環境で3回移行を試す
  4. 件数・金額の合計・取引先数の3点で、移行前後の照合を行う
  5. 本番移行後も、旧Accessは1年間そのまま残す

最後の「旧システムを残す」は必ずやります。移行後に「あのデータが見当たらない」という事態は、どれだけ検証しても起こり得ます。捨てるのは、1年間問題が出なかったあとで構いません。

既存の帳票も、そのまま出力できるようにしました。取引先に提出する運送指示書や請求書の様式が変わると、相手側の事務が混乱します。社内は変えても、社外に出るものは変えない。これが移行の鉄則です。

打ち手③ 配車の割り当てを半自動にした

3つ目が、寺田さんの頭の中にあった8つのルールを、システムに移す作業です。

重要なのは、最終判断は人が行う設計にしたことです。システムがやるのは、条件に合う候補を3つまで提示するところまで。決めるのは寺田さん、あるいはその日の担当者です。

条件システムの扱い備考
車両の積載可能台数自動判定車検証データと連動
ドライバーの拘束時間自動判定法定基準を超える組み合わせは候補から除外
ルートの走行実績過去実績から所要時間を推定12万件の履歴を使用
取引先ごとの納車時間帯自動判定取引先マスタに登録
ドライバーとルートの相性候補として提示最終判断は人
車両の整備予定自動で除外整備計画と連動
天候・道路状況考慮しない人が判断
取引先との関係性考慮しない人が判断

下の2つを意図的に自動化から外しています。天候や取引先との関係は、数値化できません。数値化できないものを無理に自動化すると、判断の質が落ちます。

この設計にしたことで、寺田さん以外の3名も配車を組めるようになりました。ベテランの判断を奪ったのではなく、判断に必要な情報を全員が見られるようにした、という形です。

つまずいた点 ── ベテランの抵抗ではなく、若手の遠慮

導入前、いちばん心配していたのは寺田さんの抵抗でした。20年やってきた仕事の一部が仕組みに置き換わるわけですから、面白くないはずだと。

実際は逆でした。寺田さんは初日から協力的で、「これで休めます」と笑っておられました。詰まったのは、別のところです。

「システムがこう出してますけど、寺田さんならどうするかなと思って、結局聞いちゃうんです」

若手が、システムの提示した候補を信用しきれず、結局寺田さんに確認していました。属人化が形を変えて残ってしまったわけです。

対策として、候補ごとに「なぜこの組み合わせなのか」を1行で表示するようにしました。「拘束時間に余裕あり/このルートの走行実績12回」といった具合です。理由が見えると、人は判断できるようになります。

この修正を入れてから2か月で、寺田さんへの確認は目に見えて減りました。ブラックボックスは、たとえ精度が高くても使われません。

結果 ── 受注処理が月120時間減り、配車ミスが8割減った

稼働開始から6か月後の実測値です。

受注受付から配車確定までの事務時間が、月120時間削減されました。二重入力がなくなったことが最大の要因です。

配車ミス(車両の積載超過、ドライバーの拘束時間超過、納車時間の取り違え)は8割減りました。とくに拘束時間の超過は、システムが候補から自動で除外するため、ゼロになっています。これはコンプライアンス上も大きい。

そして受注受付ができる人が1名から4名になりました。社長が最初におっしゃっていた「寺田さんが休むと止まる」状態は、解消されています。

数字に表れなかった効果

寺田さんが、5年ぶりに1週間の休暇を取られました。社長からは「これがいちばん嬉しい」と言われています。属人化の解消は、その人自身を楽にする施策でもあります。

支援の進め方とスケジュール

要件定義から稼働まで7か月、そこから月額保守に移行しています。

期間やったこと形態
1か月目業務フローの可視化。受注11パターン・配車8ルールの抽出現地中心
2か月目要件定義。作らない範囲の決定現地+オンライン
3〜5か月目設計・開発。2週間ごとに動くものを見せるオンライン中心
6か月目データ移行のテスト(3回)。既存帳票の再現現地
7か月目本番移行と並行稼働。手が止まる箇所を潰す現地常駐に近い形
以降月額保守。現場の要望を毎月反映オンライン

開発中は2週間ごとに動くものをお見せする進め方にしました。仕様書だけで進めると、出来上がってから「思っていたのと違う」となります。実物を見ながら直すほうが、結果的に速い。

7か月目は、旧システムと新システムを並行で動かしました。片方が止まっても業務が続く状態を1か月つくってから、旧システムを止めています。

費用と、作らなかったもの

開発費280万円、月額保守8万円(いずれも税別)です。

見積もりの段階で、作らないものを先に決めました。これが費用を抑えるいちばんの方法です。

  • 会計連携:既存の会計ソフトにCSVで渡す形にした。連携機能は作らない
  • 請求書発行:既存の様式をそのまま使う。システム側では作らない
  • ドライバー向けアプリ:現時点では不要と判断。将来の拡張余地だけ残す
  • 取引先向けの進捗照会:要望はあったが、第2フェーズへ送った

最後の進捗照会は、社長が最も欲しがっていた機能でした。ですが受注と配車が安定する前に外向けの機能を作ると、不安定なものを取引先に見せることになります。順番を守ることを優先しました。

削減効果は月120時間、人件費換算で年間280万円程度です。開発費と保守費を合わせても、2年目には回収できている計算になります。

作らなかったものと、その理由

開発費を抑えるうえで、いちばん効いたのは作らない範囲を先に決めたことです。この案件で見送った機能と、その理由を挙げます。

見送った機能理由代わりにどうしたか
会計システムとの自動連携開発費が1.5倍になるCSVで渡す運用にした
請求書の発行機能既存の様式で問題なく回っている既存のまま継続
ドライバー向けアプリ現時点で運用が固まっていない将来の拡張余地だけ残した
取引先向けの進捗照会受注が安定する前に外に見せるのは危険第2フェーズへ送った
売上分析ダッシュボード見る習慣がまだないCSVを出して手元で集計

最後の分析ダッシュボードは、社長からのご要望でした。お断りした理由は、「見る習慣がないところに、見る道具を作っても使われない」からです。まずCSVを出して手元で集計してもらい、実際に見る習慣がついてから作るほうが確実です。

結果として、1年後に社長ご自身が「この数字が毎月見たい」と具体的に言えるようになりました。いま第2フェーズで、その部分だけを作っています。

開発を外注するときの注意点

この案件は私たちが開発まで手がけましたが、他社に発注される場合の注意点もお伝えしておきます。

  1. 業務フローを描いてから見積を取る──描けていない状態で見積を取ると、必ず高くつきます。作る範囲が決まっていないためです
  2. 2週間ごとに動くものを見せてもらう──仕様書だけで進む契約は避けてください。出来上がってから違うと分かると、手戻りが大きすぎます
  3. データ移行の検証方法を先に決める──件数・合計金額・マスタ件数の3点照合を、契約書に書いておくくらいで構いません
  4. 旧システムを1年残す条件を入れる──移行後に問題が出ないとは限りません
  5. 保守費用を最初に確認する──開発費が安くても、保守が高いと総額で逆転します

とくに1番目が重要です。業務フローは、発注側が描くべきものです。システム会社に描いてもらうと、その会社が作りやすい形になります。それは必ずしも自社に合う形ではありません。

描き方が分からない場合は、実際の依頼を10件、紙に追いかけてみてください。「この情報が、次にどこへ行くか」を矢印で結ぶだけで、かなりのことが見えます。

よくいただく質問

「既製のパッケージでは駄目ですか」──まず既製品を検討すべきです。この会社でも3製品を比較しました。合わなかったのは、配車の判断ルールが特殊だったためです。8割合う製品があるなら、業務のほうを寄せるほうが安く済みます。

「開発期間が長くないですか」──7か月は、この規模では標準的です。逆に3か月で作れると言われたら、要件定義を省いている可能性があります。作り直しになるほうが高くつきます。

「ベテランが辞めたらどうしますか」──この案件の目的が、まさにそこでした。判断ルールを8つに明文化した時点で、リスクはかなり下がっています。完全にはなくなりませんが、20年分が一度に消えることはありません。

「保守は必要ですか」──必要です。業務は変わり続けるので、システムも変え続ける必要があります。保守を切ると、3年後には「使いにくいから」と新しいものを作り直すことになります。

いま、どうなっているか

月額保守で毎月改善を続けています。現場から出た要望を月1〜2件ずつ反映する形です。大きく作り直すのではなく、少しずつ足していく。

第2フェーズとして、取引先向けの進捗照会の準備を進めています。受注と配車が安定したので、そろそろ外向けに出せる段階になりました。

寺田さんは、いまは配車の実務よりも若手の育成に時間を使っておられます。判断のルールが文書になったことで、教えやすくなったそうです。

同じ状況の会社へ

「ExcelとAccessの継ぎ接ぎで限界」という会社は、たくさんあります。共通しているのは、その継ぎ接ぎが「動いてしまっている」ことです。動いているから、止めて作り直す踏ん切りがつかない。

判断の目安は、「その仕組みを理解している人が何人いるか」です。1人なら、それは仕組みではなく属人化です。2人でも危うい。3人以上が触れるなら、まだ猶予があります。

作り直すと決めたら、最初にやるのは業務フローの可視化です。システム会社に相談するのは、そのあとで構いません。フローが描けていない状態で見積を取ると、必ず高くつきます。作る範囲が決まっていないためです。

まず何から

無料相談では、業務フローの描き方をお伝えします。1週間、実際の依頼を10件追いかけるだけで、かなりのことが見えます。その結果を持ってきていただければ、作るべき範囲と、作らなくていい範囲をお話しできます。

システムの画面構成

どんな画面を作ったのかを、簡単に書いておきます。画面数は全部で7つです。多く作りませんでした。

画面使う人主な機能
受注受付事務4名7項目の入力。電話中に打ち込める設計
受注一覧事務・配車当日・翌日・週間の3タブ。色で状態を表示
配車ボード配車担当車両×時間の格子。ドラッグで割り当て
候補提示配車担当条件に合う組み合わせを3件まで提示
日報入力ドライバースマホから。5項目のみ
取引先マスタ事務納車時間帯・単価・特記事項
CSV出力経理会計ソフトへ渡す形式で出力

最も時間をかけたのは受注受付の画面でした。電話を受けながら打ち込むので、マウスを使わずキーボードだけで完結する必要があります。タブキーの移動順を、実際の会話の順番に合わせました。

配車ボードは、それまでホワイトボードで管理していたものを画面に移した形です。紙やホワイトボードでうまく回っている部分は、見た目をなるべく変えないのが定着のコツです。

導入後に出てきた、想定外の効果

稼働から半年で、当初想定していなかった変化が3つ出ました。

  1. 取引先からの問い合わせが減った。「あの車、いま どこですか」という電話が、月40件から12件に。受注一覧で状態が見えるので、事務が即答できるようになったため
  2. ドライバーの日報提出率が上がった。紙の日報は提出率が7割程度だったが、スマホから5項目に絞ったところ98%に。入力の手間が下がると、提出率は素直に上がる
  3. 単価の交渉材料ができた。ルートごとの実際の所要時間と燃料費が見えるようになり、採算の合わないルートについて取引先と条件を話せるようになった

3つ目は、経営に直接効きました。それまで「なんとなく儲かっていない気がする」だった路線が、はっきり数字で出た。結果、2つのルートで単価改定に応じてもらえています。

業務システムの価値は、効率化だけではありません。それまで見えなかった数字が見えるようになることのほうが、経営には効くことがあります。

保守で毎月やっていること

月8万円の保守で何をしているのか、具体的に書いておきます。

  • 現場から出た要望のヒアリング(月1回・30分のオンライン)
  • 軽微な改修(月1〜2件。画面の並び替え、項目追加など)
  • データのバックアップ確認と復旧テスト(四半期に1回)
  • サーバーとライブラリの更新(セキュリティ対応)
  • 利用状況のレポート(どの画面がよく使われているか)

最も価値が出ているのは1つ目と2つ目です。業務は変わり続けるので、システムも変え続ける必要があります。ここを止めると、3年後には「使いにくいから」と作り直すことになります。

実際、稼働から1年半で反映した改修は28件。うち大きめのものは4件で、残りは画面の細かい調整です。この積み重ねが、現場の「使いやすい」を作ります。

最後のレポートも効いています。使われていない画面が見つかれば、なくす判断ができる。機能を足すだけでなく、減らすことも保守の仕事だと考えています。

経営者からよくいただく反論と、それへの答え

「いま動いているものを、わざわざ壊す必要があるのか」──最も本質的な問いです。判断の目安は「その仕組みを理解している人が何人いるか」。1人なら、それは仕組みではなく属人化です。動いているうちに手を打つほうが、止まってから慌てるより安く済みます。

「開発費280万円は高い」──比較対象によります。パッケージなら初期費用は抑えられますが、業務を製品に合わせる必要が出ます。この会社では配車の判断ルールが特殊で、それができませんでした。8割合う製品があるなら、迷わずそちらをお勧めします。

「作ったあと、頼み続けないといけないのでは」──保守は必要です。ただし、他社に引き継げる形で作ります。この案件でも、設計書とデータ構造の資料を納品しています。囲い込む作り方はしません。

「7か月は長い」──この規模では標準的です。3か月で作れると言われたら、要件定義を省いている可能性を疑ってください。作り直しになるほうが、結果的に高くつきます。

「うちの業務は特殊すぎる」──特殊なのは全体の2割程度で、残り8割はどの会社も似ています。特殊な2割だけを作り、8割は既存の考え方を使う。この切り分けができれば、費用は大きく下がります。

この支援の、次にあるもの

この事例では受注と配車を作り直しました。次のフェーズは取引先向けの進捗照会です。ここまで来ると、システムは社内の効率化の道具から、取引先との関係を作る道具に変わります。

業務システムは、作って終わりではありません。会社の成長に合わせて、役割そのものが変わっていきます。

私たちが月次顧問という形をとっているのは、この「次」に付き合うためです。プロジェクト型で一度きりの支援にすると、仕組みは残っても、次の判断のときに相談先がなくなります。

逆に、社内で回るようになった領域からは、こちらの関与を意図的に減らしていきます。ずっと同じ量で入り続ける支援は、依存を作るだけだと考えています。

この会社でも、システムの領域についてはすでに関与を大きく減らしました。月次会議に同席する程度で、実務はすべて社内で回っています。

最後に ── この支援を振り返って

稼働から1年半、システムは止まっていません。当たり前のようですが、業務システムでは決して当たり前ではありません。止まらない理由は、機能を欲張らなかったことに尽きると考えています。

社長からは「作る前に、作らないものを決める打ち合わせが一番よかった」と言われました。要望を全部聞いてくれる会社より、断る理由を説明してくれる会社のほうが信用できる、というお話でした。

最後に、この案件で最も難しかった判断を書いておきます。取引先向けの進捗照会機能を、社長のご要望がありながら第2フェーズへ送ったことです。目の前の要望に応えるほうが喜ばれます。ですが、受注と配車が安定する前に外向けの機能を出せば、不安定なものを取引先に見せることになる。順番を守ることを選びました。1年後、その判断は正しかったと社長からも言っていただいています。

受注受付ができる人が1名から4名になったこと。数字としては地味ですが、経営上のリスクという意味では、この案件で最も大きな成果でした。属人化は、失われるまで金額に表れません。だからこそ、失われる前に手を打つ必要があります。

なお、この事例で使ったExcelとAccessの分析データは、いまも社内に残してあります。移行の判断が正しかったかを、あとから検証できるようにするためです。

この事例に関するご質問

この事例について詳しく聞きたい、自社の場合はどうかを知りたい、という方は、無料相談でお受けしています。30分、オンラインです。

事例の会社と業種や規模が違っても構いません。むしろ、違う条件での話のほうが、お互いに得るものが多いと思っています。

よくお受けするのは「うちの規模でも同じことができるか」というご質問です。答えは、たいてい「できるが、やり方は変わる」です。年商1億円の会社と10億円の会社では、同じ課題でも打ち手が変わります。そこをその場でお話しします。

支援に入る前に、必ず確認していること

どの案件でも、契約の前に4つのことを確認します。ここが揃っていない状態で始めると、途中で止まるからです。

  1. 経営者が、この件に時間を使う気があるか。現場に任せきりにする前提の依頼は、お断りすることがあります。数字と方針に関わる話は、経営者が入らないと決まりません
  2. 社内に、一緒に動く人が1人いるか。外部だけでは動きません。窓口になる方が1名いれば十分です。専任である必要はありません
  3. いま何が起きているかを、数字で測れる状態か。測れないなら、測るところから始めます。ここに1か月かかることもあります
  4. 半年から1年、続ける覚悟があるか。3か月で結果を求められる場合は、この支援は向きません。正直にそうお伝えします

4つ目でお断りしたことも、実際にあります。急いでいる会社に「時間がかかります」と言うのは気が引けますが、合わない支援を始めるほうが、お互いに損をします。

逆に、この4つが揃っていれば、業種や規模はあまり関係ありません。年商1億円の会社でも、10億円の会社でも、やることの本質は変わらないからです。

他のコンサルティング会社との違い

「他社と何が違うのか」とよく聞かれます。正直にお答えすると、やっていること自体は、そこまで変わりません。分析して、設計して、実行して、定着させる。手順は業界の標準です。

違いがあるとすれば、3つだと考えています。

項目一般的なコンサルティングLuzetra
業界の理解ヒアリングで把握するリフォーム経営25年。前提の説明が要らない
実行の範囲助言まで。実行は自社かベンダー開発まで一社で行う。切れ目がない
成果の判定報告書と定性評価着手前に実測した数字と比較する

2つ目が、実務では最も効きます。「こういう仕組みがあるといい」で終わらず、その仕組みを実際に作れる。ここでベンダーを挟むと、要件の翻訳に時間がかかり、意図もずれます。

3つ目は、当たり前のようで実行されていないことが多い項目です。着手前に測っていなければ、効果は比較できません。「体感で楽になった」は成果ではない、というのが基本姿勢です。

この事例をご覧になった方へ

ここまで読んでいただいて、「うちも同じかもしれない」と思われたなら、まず実際の依頼を10件、紙に追いかけてみてください。情報がどこへ流れるかを矢印で結ぶだけです。

それをやったうえで、判断がつかなければご相談ください。30分の無料相談では、売り込みをしません。状況を伺って、何が効きそうかだけをお伝えします。その場で契約をお願いすることはありません。

合わないと判断したときは、そう申し上げます。「いまはシステムを作り直すの段階ではない」とお伝えして終わったご相談も、実際にあります。無理に契約しても、お互いに時間を失うだけだからです。

ご相談の前に用意していただきたいもの

直近3期の決算書があると、話が早く進みます。なければ試算表でも構いません。数字がなくても相談は可能ですが、具体的な話に入るまでに1回多く打ち合わせが必要になります。

Result

数字でみる結果

項目支援前支援後
受注処理月120時間削減
配車ミス基準値8割減
受注受付の担当1名4名

Voice

「担当者が休んでも会社が止まらない。それだけで経営者としては全然違います。」

自動車陸送/代表取締役

まずは、現状を一度整理してみませんか。

売り込みはしません。25年の現場経験から、御社の状況に何が効くかだけをお伝えします。