Works  —  総合建設/経営コンサルティング

赤字工事が、ゼロになった。年商8億の総合建設会社が、工事別の粗利を見える状態にするまで

粗利率 +3.2pt
赤字工事 年12件→0件
業種総合建設
規模年商8億円/従業員46名/関東
ご利用サービス経営コンサルティング(パートナープラン)
ご相談時の状況工事ごとの原価が、締めてみるまで分からない。実行予算はあるが、着工後に誰も見返していない状態でした。

※ ご要望により社名は伏せています。数値はいずれも実測値です。

相談をいただいた時点の状況

最初にお会いしたのは、決算が終わって2か月ほど経った頃でした。年商8億円、従業員46名。土木と建築を両方手がける、地域では名の知れた総合建設会社です。社長は二代目で、就任から12年が経っていました。創業は先代の時代で、地元の公共工事と民間の建築を半々くらいで回してこられた会社です。

応接室に通されて、開口一番こう言われました。「売上は毎年伸びているんです。過去最高です。それなのに、手元にお金が残らない。銀行からも、そろそろ利益率をどうにかしないと、と言われていまして」。

決算書を3期分お預かりして拝見しました。たしかに売上高は3年連続で増えています。6.4億、7.1億、8.0億。ところが営業利益率は年々下がっていて、直近期は1.8%まで落ちていました。金額にすると1,440万円。46名の会社としては、決して余裕のある数字ではありません。

「どの工事で儲かって、どの工事で損をしているか、説明できますか」とお聞きしました。社長は少し黙ってから、「感覚では分かるんですが、数字では出せません」と答えられました。これは、建設業でよくある状態です。そして放っておくと、必ず悪化します。売上が伸びるほど、見えていない部分も一緒に大きくなるからです。

経理担当の方にも同席いただいて、月次の流れを伺いました。工事ごとの原価は集計している。会計ソフトにも工事番号を入れている。ただし、その数字が揃うのは工事が終わって外注の請求書が出そろったあと。つまり「終わってから、赤字だったと知る」運用でした。年間で60件ほど工事を回している会社で、これは相当な危険を抱えている状態です。

もう一つ気になったのは、社長ご自身が現場に出る時間がかなり長いことでした。人手が足りないため、大きい現場は社長が自ら見に行く。結果として、数字と向き合う時間が構造的に取れていませんでした。これは仕組みの問題であって、社長の意識の問題ではありません。

最初にやったこと ── 過去2年の全工事を並べ直す

支援の1か月目は、新しい仕組みの話を一切しませんでした。まず過去2年間、120件の工事を1件ずつ並べ直すところから始めました。

実行予算と実績原価を突き合わせ、工事種別・元請下請の別・現場代理人・工期の長さ・受注経路といった軸で並べていきます。表計算ソフトに一件ずつ打ち込んでいく、きわめて地味な作業です。経理の方と2人がかりで、延べ3週間かかりました。

途中、社長から「そこまでやる必要がありますか」と聞かれました。お答えしたのは、「ここを飛ばして仕組みだけ入れると、何を見ればいいのか分からないまま終わります」ということでした。分析は、打ち手を決めるための材料集めです。材料がないまま道具だけ揃えても、料理はできません。

並べ終わったとき、はっきり見えたものが3つありました。

  1. 特定の工事種別が、恒常的に赤字だった。件数では全体の18%にすぎないのに、そこで年間1,100万円の利益を失っていた。しかも赤字幅は年々広がっていた
  2. 赤字工事には明確な共通点があった。見積段階の粗利率が11%を下回った案件は、ほぼ例外なく着地で赤字になっていた。逆に15%以上で受注した案件は、9割が黒字で着地していた
  3. 「取れた」と喜んでいた大型案件ほど危なかった。金額が大きいぶん、少しの狂いが金額で大きく響く。5,000万円を超える案件6件のうち、4件が予算を超過していた

社長にこの結果をお見せしたときの反応は、いまでもよく覚えています。しばらく黙って表を見つめたあと、「これ、うすうす分かってたやつです」とおっしゃいました。そして「でも、こうやって数字で見せられると、逃げられませんね」と。

経営者は、たいてい問題の在り処に気づいています。ただ、確信が持てないから動けない。私たちの仕事の半分は、その確信をつくることだと思っています。

見えていなかったのは「数字」ではなく「タイミング」だった

ここが、この案件でいちばん大事なところでした。

この会社は、原価を集計していなかったわけではありません。集計はしていた。ただ、判断に間に合うタイミングで見ていなかったのです。工事が終わってから出てくる数字は、記録ではあっても、経営の道具ではありません。

多くの会社が「原価管理システムを入れれば解決する」と考えます。ですが、システムが出すのは精度の高い事後の数字です。事後の数字がいくら正確でも、すでに終わった工事の結果は変わりません。

この案件の核心

必要だったのは「もっと詳しい数字」ではなく、「もっと早い数字」でした。精度は8割で構わない。着工前に粗い数字が出るほうが、経営にははるかに効きます。

そこで支援の方向を、「着工前に赤字が分かる状態をつくる」一点に定めました。締めたあとの精度を上げる作業は、いったん後回しにしています。優先順位をつけないと、どちらも中途半端に終わるからです。

この判断を社長と共有するのに、90分の打ち合わせを2回使いました。方向を決める場所には時間をかけます。ここが曖昧なまま進めると、あとで全部やり直しになります。

打ち手① 実行予算のフォーマットを1枚に統一した

最初の打ち手は、実行予算のフォーマットを統一することでした。当時は現場代理人ごとにExcelの様式が違い、粗利率の計算方法さえ揃っていませんでした。ある人は一般管理費を含め、ある人は含めない。ある人は予備費を計上し、ある人はしない。これでは案件どうしを比較できません。

6人の現場代理人それぞれのファイルを集めて見比べ、共通して必要な項目だけを抜き出しました。そのうえで1枚のフォーマットに統一し、入力項目を最小限に絞りました。項目を増やさないことが、続けるための条件です。現場代理人は現場に出ている人たちで、事務作業に時間を割ける立場ではありません。

  • 工種別の直接工事費(材料・労務・外注の3区分のみ)
  • 現場管理費
  • 一般管理費の配賦(率は全社統一。個別に判断させない)
  • 見積粗利率(自動計算)
  • 過去の類似工事との比較(過去データから自動表示)
  • 想定リスク(自由記入・1行)

最後から2番目の「過去の類似工事との比較」を入れたのが、いちばん効きました。自分が今つくっている見積が、過去の似た工事と比べて甘いのか辛いのかが、その場で分かります。人は他人と比べられると身構えますが、過去の自分たちと比べるのは受け入れやすいようです。

最後の「想定リスク」は、1行でいいから書いてもらうことにしました。「地盤が読めない」「元請の担当が代わったばかり」といった、数字に表れない情報です。あとで振り返るとき、この1行が効きます。

打ち手② 着工前にアラートが出る仕組みを入れた

次に、見積粗利率が基準を下回った案件を、着工前に社長へ上げる流れをつくりました。

基準値は13%に設定しました。過去2年の分析で、11%を下回ると赤字化することが分かっていたので、そこに2ポイントの安全幅を持たせています。この数字は会社ごとに違います。他社の基準を持ち込んでも意味がないので、必ず自社のデータから決めます。

アラートが出た案件は、着工前に社長・営業・現場代理人の3者で15分だけ話します。長い会議にはしません。決めることは3つだけです。受注を断るのか、条件を変えるのか、それとも承知のうえで戦略的に取るのか。

目的は「知らないうちに赤字工事が始まっていた」という状態をなくすことです。赤字を全部なくすことではありません。将来の仕事につながる案件なら、赤字でも取る判断はあり得ます。ただしそれは、分かったうえで決めるべきです。

導入から3か月で、アラートは月に4〜6件出ました。うち2件は受注を見送り、3件は仕様や工期の条件を交渉して粗利を確保しています。残りは「戦略的に取る」と社長が判断したもので、これは赤字でも構いません。判断して取った赤字と、気づかず取った赤字は、まったく別のものです。前者は投資ですが、後者はただの損失です。

面白かったのは、営業担当の行動が変わったことでした。アラートが出ると3者で話すことになるので、そもそもアラートが出ないような条件で見積を組むようになる。仕組みが人の動きを変えた例です。

打ち手③ 月次で見る指標を4つに絞った

3つ目は、月次会議の組み立て直しです。それまでの月次会議は、資料が20ページあり、2時間かけて読み合わせるだけの場になっていました。参加者は「聞く」だけで、何も決まらずに終わる。よくある形です。

見る指標を4つに絞りました。

指標なぜ見るのか目標
完成工事粗利率会社の収益力そのもの。ここが動かなければ何も変わっていない18%以上
仕掛工事の予算差異進行中の危険を早期に検知する。終わってからでは遅い▲3%以内
受注時粗利率(平均)将来の利益の先行指標。半年後の利益はここで決まっている15%以上
手元資金と月商倍率利益と現金は別物。黒字でも資金は詰まる2.5か月以上

指標を増やすと、必ず見なくなります。4つならA4一枚に収まり、会議は30分で終わります。浮いた1時間30分は、数字を見る時間ではなく、次の手を決める時間に使うようにしました。

会議の進め方も型を決めました。前半15分で4指標の確認、後半15分で「今月決めること」を1つだけ決める。決めたことは議事録の冒頭に書き、翌月の冒頭で結果を確認する。これだけです。

型を決めるのは、参加者を縛るためではありません。毎回ゼロから考えなくて済むようにするためです。会議の進め方に頭を使わなくなると、中身に集中できます。

打ち手④ 経理の入力ルールを決め直した

仕組みをつくっても、入力が揃わなければ数字は嘘になります。この会社では、会計ソフトへの摘要の入れ方が担当者の裁量に委ねられていました。同じ外注費でも、工事番号が入っていたり入っていなかったりする。月次で集計しようとすると、毎回どこかで手が止まります。

摘要の記入ルールを1枚にまとめ、よく使う40パターンを定型文として登録しました。入力の手間を増やさずに、集計できる形に揃えるためです。パターン登録は経理の方が半日で終えられました。

あわせて、工事番号の採番ルールも整理しました。それまでは受注順の連番だったので、番号を見ても何の工事か分かりません。工種と年度が分かる形に変えたことで、集計だけでなく現場での会話も楽になりました。

この作業は地味ですが、ここを飛ばすと、ダッシュボードをつくっても数字が合わないという結末になります。実際、他社で先にツールを入れて失敗した例を何度も見てきました。ツールは、揃ったデータがあってはじめて役に立ちます。

つまずいた点 ── 現場代理人からの反発

順調だったわけではありません。導入2か月目に、現場代理人から明確な反発が出ました。

「また事務仕事が増えるんですか。現場に出る時間が減ります」

これは正当な指摘です。実際、最初のフォーマットは項目が多すぎました。私が「あったほうがいい」と考えた項目を、つい入れすぎていたのです。そこで入力項目を3割削り、過去データから自動で埋まる欄を増やしました。手入力が必要な箇所は、最終的に8項目まで減っています。

もう一つ効いたのは、アラートの目的を「責めるためではない」と繰り返し伝えたことです。粗利率が低い見積を出した人を叱る場ではなく、会社として受けるかどうかを決める場である、と。ここを誤解されると、現場は数字を良く見せようとします。そうなれば仕組みは死にます。

実際、他社では「原価管理を始めたら、現場が数字をごまかすようになった」という失敗を見たことがあります。原因は、たいてい運用の入り口にあります。数字を評価に直結させた瞬間、数字は歪みはじめます。

この会社では、最初の半年はアラートの件数を評価に一切使わないと明言しました。そのうえで、正直に上げた案件ほど早く手が打てる、という事実を積み上げていきました。

3か月目には、現場代理人のほうから「この工事、アラート出そうなので先に相談していいですか」という声が出るようになりました。ここまで来れば、定着したと判断できます。

結果 ── 赤字工事がゼロになった

支援開始から12か月後の数字です。

赤字工事は年12件からゼロになりました。粗利率は3.2ポイント改善し、月次決算の確定は翌月25日から翌月8日へと17日早まっています。

粗利率3.2ポイントの改善は、年商8億円の会社にとって年間2,560万円にあたります。営業利益率は1.8%から4.1%へ回復しました。金額では1,440万円から3,280万円です。

内訳を見ると、改善の半分は「赤字工事をなくしたこと」、残り半分は「受注時の粗利率が上がったこと」から来ています。後者は仕組みの副産物でした。アラートを避けようとする力が働いた結果です。

効いたのはツールではありません

新しいシステムは何も導入していません。使ったのはExcelと既存の会計ソフトだけです。変えたのは、数字を見るタイミングと、判断する場のつくり方でした。費用のほとんどは、私たちの人件費です。

月次決算が17日早まったことも、見た目以上に効いています。翌月8日に数字が出れば、その月のうちに手が打てる。25日に出ていた頃は、気づいたときには次の月が終わりかけていました。

支援の進め方とスケジュール

この案件は、パートナープラン(月50万円)で12か月続きました。前半6か月が仕組みづくり、後半6か月が定着と次の課題への移行です。

期間やったことかけた時間
1か月目過去2年120件の工事を並べ直す。決算書3期分の分解週2日相当
2か月目方向決め(90分×2回)。実行予算フォーマットの設計週1.5日相当
3〜4か月目フォーマット試験運用。現場代理人6名と個別に調整週2日相当
5〜6か月目アラート運用の開始。経理の入力ルール整備週1.5日相当
7〜9か月目月次会議の型づくり。指標を4つに絞る週1日相当
10〜12か月目定着確認。10カ年計画の検討に着手週1日相当

最初の2か月に時間を集中させています。ここで方向を間違えると、その後の10か月が無駄になるからです。逆に後半は、こちらが手を出す量を意図的に減らしています。私たちが抜けても回る状態にするのが、支援の最終目標だからです。

現地には月2回伺いました。1回は月次会議、もう1回は現場代理人との個別の時間です。残りはオンラインとチャットで対応しています。チャットには、実行予算をつくっている最中の質問が日常的に飛んできました。

費用と、投資として見たときの回収

12か月で600万円(月50万円・税別)でした。決して小さい金額ではありません。社長も、契約前にはずいぶん迷われたと伺っています。

結果から見ると、粗利率3.2ポイントの改善は年間2,560万円にあたります。単純計算で4か月ほどで回収している計算です。ただし、これは結果論です。契約時点でこの数字を保証することはできませんし、私たちも保証はしません。

契約前にお伝えしたのは、「過去2年を並べ直せば、どこで失っているかは必ず見えます。そこから先に何ができるかは、見てから一緒に決めましょう」ということだけでした。最初から成果を約束するコンサルタントは、たいてい中身を見ずに約束しています。

判断の目安として、月50万円は年間600万円です。同じ金額で、経理か施工管理の経験者を1人雇うこともできます。どちらが自社にとって有効かは、会社の状況によります。人を採るべき局面なら、そう申し上げます。

よくいただく質問

この事例について、同業の経営者から聞かれることをまとめておきます。

「原価管理システムを入れたほうが早いのでは?」──システムは、揃ったデータがあってはじめて役に立ちます。入力ルールが決まっていない状態でシステムを入れると、精度の低いデータが速く集まるだけです。この会社では、システム導入はいまも検討していません。Excelで足りているからです。

「うちは工事の種類が多すぎて、比較できない」──よく言われます。ですが並べてみると、たいてい8割は数パターンに収まります。本当に一件一様なのは残りの2割です。まず8割を管理できる形にすれば、十分に効果は出ます。

「現場が反発しませんか」──します。この案件でもしました。大事なのは、反発が出たときに項目を削れるかどうかです。削れない理由が「あったほうが分析しやすいから」なら、それは現場ではなくこちらの都合です。

「どのくらいで効果が出ますか」──アラート運用が回りはじめるまでに4〜6か月、数字に表れるまでにさらに6か月というのが目安です。工事は着工から完成まで時間がかかるので、打ち手が決算に反映されるまでにどうしても時間差が出ます。

いま、どうなっているか

支援は月次顧問の形で継続しています。原価管理が回るようになったので、いまの主題は次の段階へ移りました。10カ年の事業計画の策定と、幹部候補の育成です。

社長からは「数字の話ができるようになって、銀行の担当者の態度が変わった」と伺っています。設備投資の相談も、以前より格段に進みやすくなったそうです。数字で説明できる会社は、金融機関から見て扱いやすいのだと思います。

現場代理人のうち2名が、自主的に他の現場の実行予算を見比べるようになりました。これは指示していません。数字が見えるようになると、人は勝手に比べはじめます。

同じ状況の会社へ

「売上は伸びているのに利益が残らない」という状態には、ほぼ例外なく原因があります。そして多くの場合、それは特定の工事種別か、特定の受注条件に集中しています。全体がまんべんなく悪いということは、実はあまりありません。

最初にやるべきは、システムの導入ではありません。過去2年の工事を1件ずつ並べ直すことです。地味で時間のかかる作業ですが、ここを飛ばして仕組みだけ入れても、何を見ればいいのか分からないまま終わります。

並べ直す作業自体は、社内でもできます。ただ、社内でやると「あの現場は特別だった」「あのときは事情があった」という説明が必ず入り、比較にならなくなることが多い。外部の人間が入ったほうが速く進むのは、遠慮なく同じ基準で並べられるからです。

まず何から

無料相談では、その並べ直し方からお話しします。自社でやる前提で構いません。どの軸で並べれば原因が見えるのかは、業種と規模によって変わります。そこだけでもお伝えできれば、動き出せると思います。

支援を終えたあと、社内に残ったもの

12か月の支援で最も価値があったのは、数字そのものではなく、数字を扱う習慣だったと考えています。

支援に入る前、この会社では「粗利率」という言葉が日常会話に出てきませんでした。いまは現場代理人が「この工事、粗利15%切りそうです」と自分から言います。言葉が変われば、行動が変わります。

残ったものを挙げると、こうなります。実行予算の統一フォーマット、着工前アラートの運用、4指標の月次会議、経理の入力ルール、そして過去2年分を並べ直した分析データ。最後のものは、次に何か判断するときの基準になり続けます。

もう一つ、目に見えないものが残りました。「数字を出すと責められる」のではなく「数字を出すと早く手が打てる」という空気です。これは半年以上かけて、少しずつ作ったものです。

支援が終わったあとも仕組みが回るかどうかは、この空気が作れたかどうかで決まります。ツールもフォーマットも、空気がなければ2か月で使われなくなります。

経営者からよくいただく反論と、それへの答え

原価管理の話をすると、決まって返ってくる言葉があります。正直にお答えしておきます。

「うちは工事が一件一様だから、比較できない」──ほぼ全ての建設会社の経営者がこうおっしゃいます。ですが実際に並べてみると、8割は数パターンに収まります。本当に一件一様なのは残り2割です。まず8割を管理できる形にすれば、それだけで十分な効果が出ます。2割の例外は、例外として扱えばいい。

「現場が忙しくて、入力する時間がない」──入力項目が多すぎるのが原因です。この案件では最終的に8項目まで削りました。8項目なら5分で終わります。5分も取れない状態なら、それは原価管理以前に、業務量そのものを見直す局面です。

「税理士に見てもらっているから大丈夫」──税理士の仕事は、正しく申告することです。工事別の採算を管理するのは経営の領域で、役割が違います。どちらも必要ですが、片方でもう片方を代替はできません。

「利益率は業界的にこんなもの」──同じ地域、同じ規模でも、粗利率が5ポイント以上違う会社は実際にあります。「業界的に」で片付けると、その差がどこから来ているのかを見る機会を失います。

「先代のやり方を変えると角が立つ」──事業承継期の会社では、これが最大の障害になることがあります。この案件では、分析結果を先代にも共有する場を作りました。数字を挟むと、感情の対立になりにくいというのが実感です。

この支援の、次にあるもの

この事例では、赤字工事をゼロにするところまで到達しました。ただし、これがゴールではありません。次に見るべきは、粗利率の水準そのものです。18%を20%へ、20%を22%へ。ここから先は、受注の選び方と、施工の段取りの改善が主題になります。

原価が見える状態は、経営の出発点であって到達点ではありません。見えるようになって初めて、どこを伸ばすかを選べるようになります。

私たちが月次顧問という形をとっているのは、この「次」に付き合うためです。プロジェクト型で一度きりの支援にすると、仕組みは残っても、次の判断のときに相談先がなくなります。

逆に、社内で回るようになった領域からは、こちらの関与を意図的に減らしていきます。ずっと同じ量で入り続ける支援は、依存を作るだけだと考えています。

この会社でも、原価管理の領域についてはすでに関与を大きく減らしました。月次会議に同席する程度で、実務はすべて社内で回っています。

この事例に関するご質問

この事例について詳しく聞きたい、自社の場合はどうかを知りたい、という方は、無料相談でお受けしています。30分、オンラインです。

事例の会社と業種や規模が違っても構いません。むしろ、違う条件での話のほうが、お互いに得るものが多いと思っています。

よくお受けするのは「うちの規模でも同じことができるか」というご質問です。答えは、たいてい「できるが、やり方は変わる」です。年商1億円の会社と10億円の会社では、同じ課題でも打ち手が変わります。そこをその場でお話しします。

支援に入る前に、必ず確認していること

どの案件でも、契約の前に4つのことを確認します。ここが揃っていない状態で始めると、途中で止まるからです。

  1. 経営者が、この件に時間を使う気があるか。現場に任せきりにする前提の依頼は、お断りすることがあります。数字と方針に関わる話は、経営者が入らないと決まりません
  2. 社内に、一緒に動く人が1人いるか。外部だけでは動きません。窓口になる方が1名いれば十分です。専任である必要はありません
  3. いま何が起きているかを、数字で測れる状態か。測れないなら、測るところから始めます。ここに1か月かかることもあります
  4. 半年から1年、続ける覚悟があるか。3か月で結果を求められる場合は、この支援は向きません。正直にそうお伝えします

4つ目でお断りしたことも、実際にあります。急いでいる会社に「時間がかかります」と言うのは気が引けますが、合わない支援を始めるほうが、お互いに損をします。

逆に、この4つが揃っていれば、業種や規模はあまり関係ありません。年商1億円の会社でも、10億円の会社でも、やることの本質は変わらないからです。

他のコンサルティング会社との違い

「他社と何が違うのか」とよく聞かれます。正直にお答えすると、やっていること自体は、そこまで変わりません。分析して、設計して、実行して、定着させる。手順は業界の標準です。

違いがあるとすれば、3つだと考えています。

項目一般的なコンサルティングLuzetra
業界の理解ヒアリングで把握するリフォーム経営25年。前提の説明が要らない
実行の範囲助言まで。実行は自社かベンダー開発まで一社で行う。切れ目がない
成果の判定報告書と定性評価着手前に実測した数字と比較する

2つ目が、実務では最も効きます。「こういう仕組みがあるといい」で終わらず、その仕組みを実際に作れる。ここでベンダーを挟むと、要件の翻訳に時間がかかり、意図もずれます。

3つ目は、当たり前のようで実行されていないことが多い項目です。着手前に測っていなければ、効果は比較できません。「体感で楽になった」は成果ではない、というのが基本姿勢です。

この事例をご覧になった方へ

ここまで読んでいただいて、「うちも同じかもしれない」と思われたなら、まず過去2年の工事を1件ずつ並べ直してみてください。表計算ソフトがあれば、社内でもできます。

それをやったうえで、判断がつかなければご相談ください。30分の無料相談では、売り込みをしません。状況を伺って、何が効きそうかだけをお伝えします。その場で契約をお願いすることはありません。

合わないと判断したときは、そう申し上げます。「いまは原価管理を入れるの段階ではない」とお伝えして終わったご相談も、実際にあります。無理に契約しても、お互いに時間を失うだけだからです。

ご相談の前に用意していただきたいもの

直近3期の決算書があると、話が早く進みます。なければ試算表でも構いません。数字がなくても相談は可能ですが、具体的な話に入るまでに1回多く打ち合わせが必要になります。

Result

数字でみる結果

項目支援前支援後
赤字工事年12件0件
粗利率基準値+3.2pt
月次決算の確定翌月25日翌月8日

Voice

「赤字だと思っていなかった工事が赤字だった。あれを見た時が一番きつかったですが、あそこからでした。」

総合建設/代表取締役

まずは、現状を一度整理してみませんか。

売り込みはしません。25年の現場経験から、御社の状況に何が効くかだけをお伝えします。